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CREATED WORLD (18)

 こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第18回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第3話 出発  工場の屋根でできた大地を走っていると、後ろから車が走ってくるのが見えた。  車の通話をする為のスピーカーをジャックされ、車の運転手と思われる人物の声が聞こえた。  「今すぐその車を止めて、俺達の欲しいものを渡して欲しい。そうしないと実力行使も視野に入れている。」  街の外の工場の大地にいる、無法者だ。  彼らは隠れて移住者が乗るロケットに潜入したり、移住する為に用意されたロケットを占拠して、この世界に移住している。  だが、彼らにはその方法を使わないとこの世界に移住する事ができないのだ。  彼らは経済状況が厳しく、やむをえず無法者になる事が多い。  彼らは生きる為に物を奪おうとしていて、その人を苦しめようなんて事は思っていないんだと私は思う。  私は彼らと交渉しようと、車のマイクに向かって話しかけた。  「私は攻撃しないから、交渉をしないか・・・。」  その後も何か言おうとしたが、後ろで走っていた無法者の車が私達が乗っている車の右に回り込み、銃弾を放った。  私と、同乗しているカンフィナは、かがんでかわした。  車の窓ガラスを貫通してしまった。  真横に来られると両者共に不利な状況になってしまうので、私は車のスピードを上げ、どこか両者の位置関係を変えることのできる場所を探した。  私達は、地下に向かうスロープになっている、工場の広い入り口に入り、一層下に潜った。  無法者の車も私の車と隣り合わせで一層下に潜った。  すると、何本ものパイプが林立している場所を見つけ、そこに2つの分かれ道があった。  私は左回りにハンドルを旋回させ、左に曲がった。  一方、無法者の車は、右に曲がり、右の道に入った。  左の道は比較的広く、車が3台ほど並んで走れそうな広さだった。  安全に合流できる地点を探していると、さらに左から何か来るのを感じ、車のスピーカーから声が聞こえた。  「私達はあなたの事を指名手配しています。今すぐ車を止め、降伏するように。」  なぜ私を指名手配しているのだろうか?  私はコルートの法には何も侵しておらず、指名手配をされる心当たりは何もなかった。  当てはまっているとするならば、それはコルートではない、他

CREATED WORLD (17)

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 こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第17回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第2話 同盟国会議  しかし、銃で撃たれてしまい、逃げ続けようとするも力及ばず、倒れ込んでしまった。  「通信機ですか・・・。」  通信機を忍ばせていることがばれてしまった。  なぜなら、ロスクムの動きは以前から怪しく、あえてミサが遠征している時を選んで同盟国会議を開いたという点において、嫌な予感がしたので、ここからコルートまで、会議が終わるまでの一定時間、通信をできるようにしたのだ。  だが、使っていた通信機も、一回きりしか使えず、制限時間以内しか使えない使い捨てで、資源を多く使う。  効率化の点で、まだ研究は続いているのだ。  「最後に、この通信機の向こうの相手に、言い残す事はありますか?」  ジカルクは左手に通信機、右手に銃を持って言った。  銃弾を多くくらってしまった私の体は動けず、抵抗もとれそうになかった。  「リーシャ・・・私は君の事を愛していたよ・・・。」  鈍い音が鳴り響き、私は現実世界が見えなくなり、その代わりに、リーシャとの思い出の風景が見えた。  そして、私は眠りに落ちた。 第3話 出発  私は、「人工の新天地」の国、コルートから200キロ程離れた工場だらけの場所で、工場が何層にも重なってできた大地に車を走らせていた。 ・「人工の新天地」のイラスト  「人工の新天地」は、自ら空間を生成し、快適な空間や、生産するものに適した環境を作る事ができるので、そういう目的で作られていない空間は、工業の建物ばかりだ。  地下深くの層に木材生産の為、人工的に作られた森林もあるのだが、今となっては木材が貴重なものとなっており、各国の私有地とされている空間に、警備や、軍備をおいた上で厳重に管理されている。  なぜ空間を作り出せるのに木材が不足しているのかというと、一時的に木材が育つのに適した環境を作れたとしても、空気の循環ができなくなってしまうのだ。  木々は光合成を行う事で、二酸化炭素を酸素に変えている。  同時に、木々は二酸化炭素を使って養分を作り出して生きている。  植物は二酸化炭素がないと生きていけなく、そのためには、酸素を二酸化炭素に変えること、呼吸をする事ができる、動

CREATED WORLD (16)

  こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第16回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第2話 同盟国会議  「ですが我々はその研究に問題点を見つけたのです。」  彼は何を言いたいんだ?  この研究は善意によって行われているものであり、安全面にも対処されるよう、最善を尽くしている。  「この前我々が調査を行った結果、研究に使われている、通信用の試験装置に異常がみられた。詳しくは、通信装置が改造され、内部に規定を遙かに超える強度の、空間を歪ませる装置が内蔵されているのが判明した。よって、コルートは組織的に我々の世界の空間を歪ませ、ロボットの暴走や、伝染病の拡大をさせているのです!」  会場はざわついた。  どうすればよいのだ・・・。どう答えればよいのだ・・・。  そんな疑問が頭の中でいっぱいになった。  そんな事はないと信じてはいるのだが、我々の国、コルートよりも技術が進歩しているロスクムの方が、よっぽど説得力があるのだ。  ロスクムの首相、ジカルクは無言で後ろを向き、その後に軍隊が後ろからかけつけてきた。  ロスクムは強大な軍事力を持っていて、ロスクムと対立すると自国の国民すら危険に晒してしまうかもしれないという思いなのだろうか、誰も私を守ってくれる者はいなかった。  最初からそのつもりだったのだ。  私を何も答えられなくして、その後に悪影響を与えている国の政治家として、ここで私の命を奪おうとしているのだ。  そんな事は絶対に起こしてはいけない。  私には心に決めた人がいるのだ。  こんな所で命を落としてしまったら、彼女に会わせる顔がない。いや、会う事すら叶わなくなってしまうのだ。  軍隊は私に向かって走りかかってきた。  私は必死に逃げ続けた。  読んでくださり、ありがとうございました。  よければこれからも応援してくれると嬉しいです。