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2月, 2022の投稿を表示しています

CREATED WORLD (15)

 こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第15回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第一話「光の革命」  ヘリの運転をしている仲間が慌てた様子で、「これは何だ?」と言っていたが、俺は「一旦落ち着いて話を聞こう。」と言って、落ち着かせた。  「こんにちは、先程はとても楽しかったです。また会えるといいですね、では。」  そう言って、連絡の為の通信は元に戻った。  運転手は不思議そうな顔をして、「さっきのって誰だったんだろうな。」と聞いてきた。  「さあ?素顔は知らないが、少なくとも、俺が研究所を爆破した犯人だって事は知ってるんだろうな。」  俺は倒壊していく研究所だったものを見つめながら言った。  「ふぅん・・・。まぁ、考えていても不安になるだけだ。今はアジトに帰って、ゲガスの無事をみんなで祝おうぜ!」  「それもそうだな。」  俺はそう言いながらも、いまだに疑問を感じていた。  もし彼がすべてを知っていたのなら、時間の流れが元に戻った瞬間、ロボットを立ち止まらせる必要などなく、ヘリに乗り込もうとする俺を追い、はしごで一撃をくらわせることもできたのに、それをしなかった。  その人物はまるで傍観者のようだった。  「今日の事は、俺達が初めて世界に影響力を与え、実験台にされてようとしていた人々も救った、まるで俺達が光を灯したようにな。そこで、俺はいい名前を思いついたんだ!『光の革命』なんて名前をつけないか?」  運転手に俺の不安を悟られたのか、安心させるように運転手はそう言った。  「いい名前だ。そうしよう。」  そう言いながらも、もやもやは残り続けるままだった。 第二話 同盟国会議  光の革命から200年後、「人工の新天地」の都市、ロスクムでは、同盟国どうしでの会議が行われていた。コルートの首相の、ミサは遠征中で欠席している為、私、ドリスが彼女の代理として出席している。  「これから、同盟国会議を行います。」  各国の首相が、机で、四角い空間を囲っている、想像のしやすい会議の光景だが、その場には緊張感が漂っているのがわかった。  「まず、これから話す概要からです、この世界に住めるかどうかの実験で、この世界に被検体のロボットを送りました。しかし、今、そのロボットが制御不能になり、人間に対して攻撃的な行動をとるようになっ

CREATED WORLD (14)

  こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第14回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第一話「光の革命」  俺は元々いたコントロールルームに向かって逃げようとする。  ロボットはすかさず追いかけてきた。  このロボットに全速力を出されたら逃げる事は出来なくなってしまうだろう。  俺は全力で逃げた。  俺はコントロールルームに入り、その向こうにあるオフィスに向かって走った。  しかし、コントロールルームは狭く、コントロールルームの椅子につまずいてしまい、手で体を支えようとすると、何が起こるかわからないボタンを押してしまっていた。  俺は、絶望した。しかし、このボタンを押しても何も変わっていない気がして、俺は違和感を感じた。  何はともあれ俺は立ち直り、逃げ続けた。  すると、走っているはずなのに、向かい風はゆっくりと吹いている。  おそるおそる振り向くと、ロボットの動きも遅くなっていた。  俺は異変の正体に気づいた。  俺の周りの空間の、時間が遅くなっているのだ。  俺は、コントロールルームの向こうの、オフィスに入った。  オフィスは、上層部の人間が勤務しているのが想像できるデスクごとにガラス張りの部屋で囲まれていて、部屋の様になっていた。  その向こうに、バルコニー付きのカフェテリアがある。  この摩天楼の研究所は90階まであるのだが、今俺がいる階、85階のひとつ上の階、86階から少し面積が小さくなっていて、このバルコニーは屋根がなく、露天だ。  なので、元々予測していた時間に、仲間にヘリコプターを用意させるよう、指示をしているので、ヘリのはしごから逃げるのだ。  だが、このロボット以外のロボットやセキュリティシステムが停止していたので、着くまでには少し時間がかかる。  俺はオフィスの廊下を走り抜け、バルコニーまで行った。  それにも関わらず、ロボットはすぐに追いついた。  このロボット、時間の流れが遅くなっていなかったら、俺はとっくにやられていただろう。  ロボットは刀の腕を振りかざし、攻撃する。  俺は後退し、それをかわす。  そのすぐ後、予想もつかない早さで近づき、もう一方の腕を俺の顔に向けて振った。  俺は、それをかわそうとするも、顔の左頬を切ってしまった。  ロボットは、また腕を振りかざし、攻撃をしよ

CREATED WORLD (13)

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  こんにちは、猫手水晶です。  今回は、小説「CREATED WORLD」の第13回です。  以下が本文です。 CREATED WORLD 第一話「光の革命」  私達はついに、自由になる事ができたのだ。  私達は、野宿のできそうな場所や、泊まる事のできそうな町を探していると、研究所のある後ろの方から、轟音が鳴り響いているのが聞こえた。  研究所が爆破され、倒壊していた。  私はここから逃げ切る事ができなかった、他のクライイング職員の事を思うと、悲しくなった。  「私達は、救う事ができなかったんだね・・・。」  「私達が出来る事はした、命を落としてしまった職員の分も、私達は生きていかなければいけないと思うよ。」  「それもそうだね。まずは私達が住む場所や食べ物に困らないようにしないとね。」  「そうだな、じゃあまず今日を生き抜く為、夜を明かせる場所を探さないとな。」  私達は、砂漠化が進み、荒れ果ててしまった大地に、バスを走らせていた。  私達のスタートは、ここなのだと感じた。  俺はメンテナンス室を出て、エントランスを経由してエレベーターに向かった。  エントランスを巡回しているはずのロボットは止まっていて、妙に静かで、不気味さすら感じた。  先程鳴り響いていたやかましいアナウンスで、職員達は脱出しているだろうし、おそらく先程メンテナンス室で見た職員達で最後だろう。  今この研究所を爆破しても、犠牲者は出ないだろう。  向こう側の人間だって、階級や序列はあるだろうし、下の人間は指示に従っているだけで、それで生計を立てている者もいるだろう。  犠牲者を1人も出さずに、この研究所を爆破して、この研究所を管理している上層部の人間の状況を不利にし、この研究をやめさせたいのだ。  俺はエレベーターに乗り、85階の、研究所全体の管理をする為のコントロールルームの向こうの、配管室に向かった。  この部屋にエネルギーの元となる燃料の配管が集中している。  コントロールルームのセキュリティシステムも動いていない。  配管室に入っても、普段ならすぐ俺を見つけ、研究所全体にアナウンスするはずの監視カメラがあったが、それも動いていない。  俺は怖く思って、すぐ終わらせようと、時限爆弾を設置し、その場を離れようとする。  すると、背後に、気配を感じた。  振り返ると、さっきはいなかったはず