CREATED WORLD あらすじ(6)

  こんにちは、猫手水晶です。

 今回は自作の小説「CREATED WORLD」の第六回です。

 以下が本文です。


CREATED WORLD あらすじ

第一話「光の革命」

 なぜその事を知っているのかというと、私達クライイング職員の職務内容が人体実験の実行であり、スピーカーの向こうから聞こえる研究員の命令に必ず従い、その事を実際に行わなくてはならないからだ。

 職員自身の手で被験体の命が失われていくのを見ると、とてつもない罪悪感に苛まれ、精神異常を起こし、正気を失う、または何も考えられなくなってしまう事によって、人間らしさが失われてしまう職員も少なくない。

 だからといって、命令に背くと、地下五階の地下牢に閉じ込められてしまう。地下牢に閉じ込められると、短くても十年は出られなくなってしまう。

 何故そうなってしまうかについては聞いたことがないのだが、研究を行う際に、時間の流れが歪む事によって健康被害が起こってしまう危険性があるという事は、私達クライイング職員も知っている。

 それを防ぐ為にクライイング職員、ラフィング職員ともにこの研究所すべての職員は、就任する前に不老不死になる薬を飲んでいるので、地下牢の中で老いる事はないのだが、地下牢に十年以上閉じ込められるという事は、その事とは関係なしに恐ろしいのだ。

 私達クライイング職員の仕事内容は、人体実験の実行と、研究所への侵入者や、暴走したロボット、脱出した被験体や、情報漏洩を試みる等の研究所に対する反逆的な行動を起こした職員の鎮圧も含まれる。

 外部への情報漏洩を試みようとするなどの反乱を起こした職員は、ロボットや、私達クライイング職員に直接命を奪われてしまうのだ。

 また、外部への情報漏洩の防止の為、一度この研究所のクライイング職員に就任すると、退職することもできない。

 また、この研究所の求人の仕方はとても巧みで、主に貧困層の若者に「我々と共に、誰もが幸せに過ごせる、新たな世界を作らないか。」というキャッチコピーで呼び込み、とても高い人気を誇るが、入ると絶望に陥ってしまう現状がある。

 そこで私は思いついた。

 「今頃ラフィング職員はこの研究所から避難し始めており、これからは遠隔でロボットに指示を出す事しかできなくなる。また、その指示は、脱出した被験体の鎮圧に重点を置いたものになる事が想定されるので、職員に対する監視が手薄になった今は、ここから脱出する絶好のチャンスなのではないか。」と。


 読んでくださり、ありがとうございました。

 よければこれからも応援してくれると嬉しいです。

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